教科書の要約のやり方:二度と読み返さずに済む方法

結論

教科書の章は、見出しと問いを下見し、1節ずつ読んだら本を閉じて、節ごとに2〜4文を記憶から書きます。本文と照らして誤りを直し、章全体を1段落と重要用語にまとめ、その要約を自分で試せる問いに変えましょう。

落ち着いたモノクロの模様の上に、記事のタイトル「教科書の要約のやり方:二度と読み返さずに済む方法」を配置したカバー画像

多くの学生は、ペンを手に章を読み、重要な文をノートに写して要約します。その結果は本を短くした版で、それで勉強しても、読み返しとあまり変わりません。このガイドでは、記憶にきちんと働きかける教科書の要約のやり方を紹介します。核心は単純で、本を閉じて要約を書き、あとで確認することです。6つの手順、実例、残す内容と削る内容の表、完成したページでの勉強の計画を取り上げます。

章の要約は、本当に学習に役立ちますか?

やり方しだいです。学習法の大規模なレビューは要約の有用性を低いと評価しましたが、主な理由は多くの学生の要約が下手だからです。記憶から要約を書いて確認すれば、最も根拠のある検索練習が加わり、要約はずっと役立つものになります。

2013年、John Dunloskyと4人の共同研究者は、Association for Psychological Scienceの長い報告書で、人気のある10の学習法を検討しました。実践テストと分散学習が最高の評価でした。要約、マーカー引き、読み返しは、低い評価の5つに含まれていました。著者らは要約が無駄だとは言っていません。要約は、すでに要約が上手な学生には役立ちやすく、多くの学生は効果が出るまでにかなりの訓練が必要だと指摘しています。

Dunloskyらによる2013年の研究の、学習法とその有用性の評価の表
出典:Dunloskyら(2013)、Psychological Science in the Public Interest。

つまり問題は、要約するかどうかでなく、どう要約するかです。本を閉じて書く要約は、評価の高い活動と低い活動を組み合わせます。要約をしつつ、思い出すことでそれを行うのです。これで要約が、実践テストと同じ側に立ちます。

写し書きの要約と、本を閉じて書く要約を比べた図

教科書の要約のやり方:6つの手順

教科書の章を要約する、本を閉じる方法の6つの手順

1. 章を下見する

5〜10分かけて、骨組みを見ます。章のタイトル、すべての見出し、序文、結論、太字の用語、章末の復習問題です。これが地図になり、各節の居場所ができます。章末の問いは、著者が何を重要と考えているかを教えてくれるので、特に価値があります。これはSQ3R読書法の概観の段階です。

2. 1節ずつ読む

見出しとその下の文章など、1節だけを読み、説明できるくらいに理解することを目標にします。この段階ではマーカーを使いません。読みながら線を引くと、引きすぎになりがちで、進んでいないのに進んだ気になります。理由はマーカーは勉強に役立つかで解説しています。

3. 本を閉じて書く

次に本を閉じるか、ページを隠して、その節が述べていたことを2〜4文で書きます。自分の言葉を使い、文体は気にしません。行き詰まったら、覚えていることを書いて、抜けは空けておきます。その抜けが役に立ちます。自分が何を取り込めなかったか、正確に教えてくれるからです。

4. 確認して直す

本を開いて見比べます。間違いを直して抜けを埋め、できれば別の色を使い、自分が何を見逃したか見えるようにします。その訂正は自分の最も弱い点で、あとで最初に復習すべきところです。

5. 章を圧縮する

すべての節が終わったら、節ごとの要約を読み、章の主な論旨をとらえた1段落を書きます。その下に、重要用語を短い定義とともに並べます。これが、これから勉強に使う版です。ほかはすべて足場にすぎません。

6. 問いに変える

最後に、要約が答えになる問いを5〜10個書きます。事実を問うもの(浸透とは何か?)と、なぜ、どのようにを問うもの(拡散が無料なら、細胞はなぜ能動輸送を必要とするのか?)を混ぜます。実際に勉強に使うのは、この問いです。

よい章の要約とはどのようなものですか?

よい要約は、まず章の主な考えを述べ、それを説明する少数の裏づけを、自分の言葉で、重要用語を定義して書きます。主な考えから組み立て直せる例、逸話、細部は省きます。1〜2分で読み切れる短さが目安です。

ここでは、細胞膜を扱う典型的な入門生物学の章を例にします。膜の構造、受動輸送、能動輸送、バルク輸送の4つの節があります。

25ページほどの章が、約90語になりました。すべてのタンパク質や図には触れていません。細部がぶら下がる構造を与えてくれ、どの文も問いになりえます。

章の要約に含めるものと省くものを示した表

章の要約はどれくらいの長さにすべきですか?

テストの前に気持ちよく読み返せる短さです。ほとんどの章で、1ページかそれ以下になります。1段落の概要と重要用語の一覧で足りることも多いです。数ページを超えるなら、要約ではなく写し書きになっています。

密度の高い物理の章と、物語的な歴史の章では圧縮のしかたが違うので、完璧な比率はありません。それよりも役立つ基準は、すべての行が存在する価値を持つかどうかです。適切な長さについては、要約の長さの目安を参照してください。要約しているのか言い換えているだけなのか迷うときは、要約と言い換えの違いが参考になります。

章の要約には、どのノートの形式が最適ですか?

章の形に合った形式を選びます。階層構造の章にはアウトライン、つながりの多い考えの章にはマインドマップ、問いを組み込みたいならコーネル式ノート、最終的に圧縮した版には1枚のまとめノートが向いています。

AIは章を要約してくれますか?

はい、速く作れますが、AIの要約を読むのは想起よりも読み返しに近い行為です。本を閉じた自分の要約を書いたあとの確認に使うか、読む前の下見として使いましょう。AIの要約は重要点を落としたり、本文にないことを述べたりするので、必ず章と見比べてください。

両方を組み合わせるよい方法は、まず本を閉じた自分の要約を書き、それからAIの要約を作って二つを比べることです。AIが含めていて自分が逃したものは、本で確かめる価値のある抜けです。AIが間違えた部分は、批判的に読む勉強になります。LearnKitは、章のPDFやページの写真を要約し、その要約を暗記カードやクイズに変えられます。章がスキャンしたPDFや写真の場合は、スキャンしたページからのノート作りを、PDFの一連の流れはAIでPDFを要約する方法を読んでください。

AIの要約は、記憶から書いた要約と照らす確認に役立ちます。

要約を書いたあとは、どう勉強に使いますか?

読み返すだけにしないでください。要約を隠して、見出しから組み立て直し、手順6で書いた問いに答え、数日後と1週間後にまた復習します。要約を読み返すのは、やはり読み返しです。それで自分を試すことが、記憶を長持ちさせます。

ここで、本を閉じる方法の効果が二度目に現れます。RoedigerとKarpickeの2006年の実験では、文章を思い出す練習をした学生は1週間後に61%を覚えていましたが、読み返した学生は40%でした。同じ理屈が要約にも当てはまります。読む資料でなく、解答集として扱いましょう。

棒グラフ:1週間後の再生率は、繰り返しテストが61%、繰り返し読みが40%
出典:RoedigerとKarpicke(2006)、Psychological Science、実験2。
  1. 当日:手順6の問いに、見ずに一度答える。
  2. 2〜3日後:1段落の要約を記憶から書き直し、見比べる。
  3. 1週間後:もう一度問いに答え、間違えたものを暗記カードにする。
  4. 試験前:複数の章を混ぜて、まとめて自分に出題する。

要約できるほど章を理解できていないときは、どうしますか?

それは、要約がその役目を果たしたということです。説明できなかった節に戻り、ゆっくり読み、例や図を見て、動画や別の教科書など、もっと簡単な資料も試します。要約は、その考えを声に出して説明できるようになってから行います。

節のあとの白紙は失敗ではなく、情報です。原因はたいてい三つのどれかです。飛ばした用語、ざっと読んだ推論の一歩、本当の説明を担う図。どれなのか突き止めましょう。架空の友人に節を説明してみると、ファインマンテクニックの一種になり、説明が詰まるところがはっきり見えます。その詰まりが、調べるべき点です。

難しい章は、小さな単位に分けるのも有効です。1節ずつでなく、考えがつながり始めるまで、1段落ずつ要約します。遅くなりますが、章全体を3回読み返して腑に落ちるのを期待するより、やはり速いのです。

章を要約するときのよくある失敗

  • ずっと本を開いたまま要約し、何も思い出さない。
  • 章と同じ長さの要約を書く。
  • 著者の文を写し、理解したかどうかがわからなくなる。
  • 下見を飛ばし、節がばらばらの事実に感じられる。
  • 要約をノートに置いたまま、それで自分を試さない。

この方法で章を要約できるようになれば、同じやり方がほかの資料にも使えます。論文には独自の構造があり、論文の要約方法で扱っています。動画の講義はYouTube講義の要約を見てください。資料が何であっても、原則は変わりません。記憶から要約し、確認し、書いたもので自分を試すことです。

よくある質問

すべての章を要約すべきですか、それとも難しい章だけですか?

時間があるなら、試験に出るすべての章を要約しましょう。1枚の版が試験の復習資料になります。時間が足りないなら、最も難しい章は本を閉じた完全な要約を、ほかは1段落の簡単な版にします。

要約は手書きとパソコンのどちらがよいですか?

記憶から自分の言葉で書くなら、どちらでも効果があります。手書きは遅いので、自然に内容を絞り込むことになります。入力は編集が速く、あとで暗記カードにしやすいです。

章の要約にはどれくらい時間がかかりますか?

特に最初の数回は、章を読むだけよりも時間がかかると思ってください。その余分な時間は、あとの読み返しの代わりになるので、学期全体では時間の節約になることが多いです。

教科書の章末の要約を代わりに使ってもいいですか?

置き換えでなく、確認用に使いましょう。著者の要約を読むのは手早い復習ですが、自分で書くことが、章を理解したかどうかを試します。二つを見比べて、著者が強調していて自分が省いた点をメモしてください。

参考文献

  1. Which study strategies make the grade?, ScienceDaily (Association for Psychological Science release on Dunlosky et al., 2013) (10の学習法を検討。実践テストと分散学習は有用性が高く、要約、マーカー引き、読み返しは低い評価の5つに含まれた。)
  2. Test-Enhanced Learning: Taking Memory Tests Improves Long-Term Retention, Psychological Science (Roediger and Karpicke, 2006) (1週間後の再生率は、繰り返しテストが61%、繰り返し学習が40%。)